妊娠中に摂取した方がいい栄養素は、いくつかあります。
葉酸、カルシウム、鉄分、カリウム、ビタミンC、ビタミンKなどが有名ですが、中でも優先度が高いのが葉酸です。
葉酸は赤ちゃんの先天性障害や流産のリスクを減らし、お母さんの貧血を防止するため、産婦人科でもよくすすめられます。
今回はそんな葉酸について、厚生労働省・日本産科婦人科学会の調査をもとにまとめました。

1.葉酸ってどんな栄養素? |
1-1.食事性葉酸とモノグルタミン葉酸の違いは? |
2.1日にどれくらいとればいい? |
2-1.食事性葉酸はどんな食べ物に含まれる? |
2-2.過剰摂取はよくない |
3.いつからいつまで? |
葉酸ってどんな栄養素?
葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球やDNAを作るのに必要な栄養素です。
アメリカでは新生児障害(神経管閉鎖障害)の50%~70%を予防できると報告されています。
葉酸には「食事性葉酸」と「モノグルタミン葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」があります。
「食事性葉酸」は通常の食事で摂取できる葉酸です。
「モノグルタミン葉酸」はサプリメントなどで使われている葉酸です。
食事性葉酸とモノグルタミン葉酸の違いは?
食事性葉酸はとても酸化しやすく、長期保存や調理で失われやすい栄養素です。
サプリメントに使われているモノグルタミン葉酸と比べると、50%ほどしか摂取できません。
1日にどれくらいとればいい?
厚生労働省は、18歳以上なら1日240μgの葉酸をとるようすすめています。
通常の食事では1日240~320μgほど摂取できるため、普段ならばサプリで補う必要はありません。
しかし妊婦さんとなると、話は別です。
妊婦さんは通常の食事で摂取できる240μgに加えて、240~400μgの葉酸が必要とされています。
食事性葉酸はどんな食べ物に含まれる?
食事性葉酸は野菜や柑橘系、大豆などに多く含まれます。
- ほうれん草
- 枝豆
- モロヘイヤ
- アスパラガス
- ブロッコリー
- 焼き海苔
- レバー
などが代表的です。
食事性葉酸はモノグルタミン葉酸と比べると吸収率が低いため、1日800μgを目安にしましょう。
800μgを身近な食べ物で換算すると、ほうれん草400g(茹でると半減するため800g)に相当します。
また、通常の食品には葉酸以外の栄養素も含まれており、過剰摂取に気を付けたい栄養素もあります。
サプリメントの葉酸(モノグルタミン葉酸)で補った方が効率的でしょう。
過剰摂取はよくない
どんな栄養素にも言えることですが、葉酸も過剰摂取はよくありません。
モノグルタミン葉酸は1日900~1000μg(1mg)を超える摂取をしてはいけません。
新生児障害(神経管閉鎖障害)の要因はいくつかあり、葉酸を摂取すれば防げるというものではありません。
葉酸はお腹の赤ちゃんにとって大切な栄養素の1つですが、多くとることで病気が治る・健康になる・赤ちゃんの発育がよくなるといった効果もありません。
必ず1日の摂取目安量を守りましょう。
葉酸を多くとりすぎると、以下のような葉酸過敏症を起こすことがあります。
- 発熱
- じんましん
- 紅斑
- かゆみ
- 呼吸障害
また、妊娠後期(30~34週)に1000μg(1mg)の葉酸のサプリメントを飲んでいた場合、赤ちゃんが喘息になるリスクが1.26倍高かったという報告も、アメリカではされています。
いつからいつまで?
葉酸を多くとった方がいいのは、いつからいつまででしょうか。
日本産科婦人科学会では、妊娠の1か月以上前から妊娠3ヶ月までの間としているようです。
通常の食事からとれる葉酸に加えて、以下の量を加えることが推奨されています。
妊娠の1か月以上前~ 妊娠3ヶ月まで |
+400μg |
妊娠4ヶ月~出産 | +240μg |
授乳中 | +100μg |
1錠で400μgを摂取できるサプリメントもありますが、授乳中まで飲むことを考えると、何粒か飲むタイプのものがよさそうです。
ミキハウス子育て総研株式会社による2018年の調査では、妊婦さんの約7割が葉酸サプリを摂取しているそうです。
お腹の赤ちゃんの健やかな成長のためにも、サプリメントなどで葉酸を摂取しましょう。